朝食を済ませると、僕は恐る恐る女中さんに・・・・・
あの〜〜〜ぅ 実は・・・宿泊代を持って無いんです・・ときりだした。

「え〜〜っ!!お客さん お金が無いのに泊まったわけーっ」

そもそも僕は泊まるとは一言も言っていないのだ!
「そういう訳じゃなくて・・・・道を聞こうとしてして、玄関を入ったらいきなり 2階に・・・・」

信じてもらえるか、もらえないかは別として、女中さんに事情を話した・・

「ははは・・お客さん、タイムスリップなんて映画じゃあるまいし 冗談はよしてくださいよ〜」

僕はポケットの中から財布を出してみせた・・
女中さんは、しばらく紙幣を眺めていたが理解してくれたのか

「・・・旅館代は私が何とかするから タイムスリップなんて言っちゃだめですよ。」
「こんなお金を見せたら偽札犯人と間違えられるわよ・・」と言い残し女中さんは部屋を出て行った。

しばらくして女中さんは戻ってきた

「このお金貸してあげるから・・」と言って、5万円を渡してくれた。

「この先、お金が無いと困るでしょ・・・貸すのだから・・あげるんじゃないですよ」

・・でも僕には返すあてもないし、そうだ!昨日、彼女にプレゼントするために 持っていたネックレスをさしだした。

「じゃあ 遠慮なくお借りします、お礼と言ってはなんだけど これ、受け取ってください」

僕よりちょっと年上にみえる女中さんは中身を出して笑ってみせた。

「なんだか意地悪そうな、猫ですね・・・」その笑顔がどことなく彼女に似ていた。

「不思議の国のアリスに登場するチェシャ猫ですよ」

宿泊代の心配は消えたがこれからどうすればいいんだ・・・ もとの時代に戻る手がかりを探さなくては。

とりあえず、旅館を出てみる事にした。